「出版界屈指のイケメン」と一部で名高い某ビューティ系雑誌編集者と久しぶりに会ったら、へんなパーマがあたっていた(※関西人は、パーマは「かける」ではなく「あてる」という)。
どう好意的に解釈しても、いくら出版界屈指のイケメンな顔面造形をもってしても、まったく似合ってなかったので、
「なんで、そんなおもしろいパーマ、あてたわけ?」
と聞いてやった。すると、その某編集氏は、
「仕上がったときに、ボクについてくれた美容師サンが、『う~ん、完ペキっ!』だとか『チョー似合ってますよ!』とかって、あまりに自画自賛するから、なんかダメ出ししづらくって……まあ、コレでいいや……って、思っちゃったんですよ~」
と、極端に前方向へとはねた髪先を指でくるくる巻きながら、独り言のようにつぶやいた。
不況のあおりをモロに受ける昨今の美容業界では、たいがいのサロンが顧客獲得のサービスの一環として「カット保障」(=お客さんが完成した髪型に満足できなかった場合、無料でリメイクしてもらえるシステム)をうたっている。つまり、その編集某氏は、
「このパーマ、気にくわないので、やり直ししてください!」
と、言ってかまわなかったのである。でも、物臭な性格ゆえか、私の原稿にはビャービャー赤を入れまくるくせに案外ハートの弱い一面を持ち合わせているのか、それともナルシスティックな担当スタイリストに瞬間洗脳されたのか、とにかく「NG」を出すことができなかった。
今回のこの「面白パーマそのまんま事件」──はたして、たとえばNews Digでもご活躍中のビジネスコンサル系の方々は、どうお感じになるのだろう? やはり、
「正当な権利を行使できない人間はビジネスチャンスも逃しがち」
みたいなことにでもなるのだろうか?
私は、その編集某氏の気持ちが手に取るようによくわかる。少なくとも私は「悪くないですね……」とスタイリストに迎合してしまうに違いない。もしかすると、日本人の(とくに男性の)90%くらいは、私たちと同じリアクションしか取れないのかもしれない。
これは、デリヘルで写真と全然違う子が来たときに、
「チェンジお願いします!」
と、なかなか言えないのと同じメンタルだ。(健全な読者の皆さんに念のため解説しておくが、デリバリー系の風俗は基本、呼んだ側が相手を気に入らない場合、別の子を無料で要求できる。ただし、その旨を本人に直接伝えなければならないのが大変気まずい)
では、そんな気まずさをモノともせず、しれっと「チェンジ」と言える「力」とは、いったい如何なるメンタルからくるのか?
私は、「自分のことをあっさり棚に上げることができる力」だと思っている。どんなに自分が容姿的にもサオ的にもトーク的にも年収的にも冴えない男だとしても、「金払ってるのはオレだから!」と割り切れる「相対」という概念の欠片もないドライなメンタル──たしかに仕事はできそうだ。けれど、私は、そーいうダメな子に当たっても「チェンジ」の一言が言えなくて、その子の良いところを死に物狂いで見いだそうとする健気なカタルシスをひっそりと評価したい。
「風俗 de あそぼう♪」
サイト管理者:庭石 菖
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